6月初めに被災地の宮城県気仙沼市と岩手県陸前高田市を訪問しました。
3月11日の大震災の後、とにかく早く現地に行きたかったのですが、ようやく実現することができました。
気仙沼の唐桑から見る海は、青く静かでした。しかし、津波によって打ち上げられた船が陸地に点在し、腐った魚のため悪臭がひどく、マスクなしではいられないほどでした。
陸前高田の市街地は、あらゆる建物が流され、ガレキとなり、市街地全体が壊滅していました。何も残っていない状態でした。
報道で見るのと、実際に現地に立つのとでは、違います。
先輩弁護士から、事件を引き受けたら、「まず現地を見よ。」と言われていました。今回それを実践したわけですが、命が失われ、住宅を失い、水や電気などライフラインが破壊され、憲法で定められている生存権が危うくなっていることを感じました。
「社会生活上の医師」と言われる弁護士は、法律家として被災者に対して直接助言することはもちろんのこと、二重ローンからの解放など被災者支援のための提言を積極的に意見・提言を行っていくべきでしょう。
愛知県に住む弁護士として、いったい何をすることができるのでしょうか? 弁護士は、民間人です。役所よりも身軽な立場です。接着剤として、いろいろな立場の人たちをつなげる役割を果たせるのではないかと感じました。
愛知県は、高確率で起こるとされている東海地震、東南海地震で、相当の被害を受けることが予想されます。平時から法律家としてできることを積み上げることが必要でしょう。地域の防災計画に積極的に意見を述べる必要があるかもしれません。
弁護士の仕事は「待ちの姿勢」が多いのが実情です。裁判所も同じかもしれません。しかし、今回の震災は、待ちの姿勢ではいけない、社会には様々なトラブルが起こる可能性がある、トラブル予防のためには積極的に社会に入っていかないといけないと改めて考えるきっかけとなりました。
今回の被災地訪問を今後の弁護士としての活動に生かしていきたいと考えています。