第3回
弁護士 上田敏喜
1.過払い金とは?
皆さん、「サラ金からお金を取り戻せる」ということをご存じですか?
サラ金(消費者金融)、クレジット会社から7~8年以上借りている場合、引き直しの計算をすると、借り方にもよりますが、ゼロになるか、場合によってはお金が戻ってくる可能性があるのです。これを「過払い金」と呼んでいます。
サラ金や一部のクレジット会社は、利息制限法で定める利率を超える金利、いわゆるグレーゾーン金利でお金を貸していました。
例えば、利息制限法では50万円のお金を貸す場合、18%の金利が上限ですが、29.2%で貸していたのでした。
この差額の金利分は、本来支払わなくても良かった部分であり、この払いすぎた利息を元本として支払ったことにして計算をし直すと、逆にサラ金からお金を返してもらえる場合があるのです。
?2.過払い金の実例
Aさんという方は、8社の消費者金融から合計300万円の借金がありました。給料から何とか支払っていましたが、それも苦しくなり利息制限法による引き直 し計算をしたところ、10年以上借りていた消費者金融もあり、総額200万円を超える過払い金があり、お金が戻ってきたのでした。Aさんは「それまで借金 の支払いに苦労していて、全然減らなかったのに、逆にサラ金からお金が戻ってくるなんて本当にビックリした。」と述べておられました。
3.サラ金の対応、最高裁判所の判例
ほんの数年前までは、サラ金側は取引履歴の開示自体を拒否したりするなどしていましたが、最高裁判所の判例の積み重ねがあり、契約開始当初からの取引履歴開示義務が認められるなどして、引き直し計算による過払い金請求が容易になったのでした。
4.取引終了の場合でも可能
現在サラ金からの借金がある方だけではなく、サラ金との取引がもう終わってしまっている方でも、時効にかかっていなければ過払い金請求が可能です。
5.生活を立て直しましょう
サラ金からお金を借りた場合、「もう少し借りませんか?」と言われて、雪だるま式に債務額が増えたり、複数の会社からの借入となることが通常です。
サラ金からの借金が100万円を超えると返済自体が困難になり、自分や家族の生活自体が崩れていく場合も多いようです。
グレーゾーン金利は本来許されない金利なのであり、利息制限法による引き直し計算をすれば、支払総額が相当少なくなったり、上記のように過払い金が発生する場合がありますので、借金の整理をして、生活の再建について一緒に考えていきたいと思います。
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