第15回
弁護士 小木曽琢也
遺言書を作成するのは大げさだとか、たくさんの財産がある人だけの特別な問題だと思っておられるかもしれません。
また、ご家族は円満だから、遺言書なんてなくても大丈夫だと思われているかもしれません。
しかし、実際は、相続でもめてしまうことは特別なことではありません。「相続(そうぞく)」のことを「争族(そうぞく)」と表現されることがあるくらいです。
? 遺言書がなければ、亡くなった方の財産は相続人全員がどうやって分けるかを話し合って決めることになります。
??ご家族の仲が良くても、奥さん、お子さんなど相続人となられる方々には、それぞれいろいろな思いや苦労があることも多く、みなさんが納得する結論を出すことが難しいこともあります。
?遺言書を作成しておけば、遺言者の意思で、どの相続人にどれくらい財産を残すかを決めることができ(ただし、遺留分を侵害することはできません。)、相続人間で無用な争いが生じることを避けることができるのです。決して大げさなことではありません。
?そして、遺言書には、大きく分けて、自分で書いて作成する自筆証書遺言と、公証人が作成する公正証書遺言の2つがありますが、公正証書遺言をお勧めします(公正証書については「ちょっといい話第10回」を参照ください。)。
自筆証書遺言は、一人で作成できて費用もあまりかからないという手軽さが良いところですが、第三者に偽造、変造、隠匿されるおそれがあり、形式が不備だと遺言が無効になってしまうおそれもあります。
? また、裁判所での確認手続(検認)も必要なため、遺言執行までに時間がかかることがあります。
? 一方、公正証書遺言は、証人2人が必要である点や、ある程度の手間と費用が必要になりますが、原本が公証役場に保管されるため、偽造、変造、隠匿されるおそれがなく、裁判所での確認手続(検認)も不要で、一般的に信頼性も高いといえます。
このように、公正証書によって遺言を作成しておけば、相続人となるご家族にあなたの最後の意思を正確に伝えることができ、ご家族の間で紛争が生じることを防ぐことができるのです。
? 公正証書遺言を作成するための費用は遺言の内容によって異なりますので、まずは、お気軽に弁護士にご相談下さい。