第10回
弁護士 佐藤恵理
みなさんは、「公正証書(こうせいしょうしょ)」という言葉を聞いたことがありますか?今回は、今後、みなさんが利用される可能性のある「公正証書」についてご説明したいと思います。
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Q 「公正証書」とは何ですか?
???????? 元裁判官、元検察官、元法務局長など、法律実務を長く経験した人(公証人(こうしょうにん))が公証役場
(こうしょうやくば)で作る文書です。
Q 公正証書を作るにはどうすればいいですか?
公証人のいる公証役場に行く必要があります。
Q 公正証書はどんなときに利用するのですか?
・遺言書を作るとき
・離婚に伴い、慰謝料や養育費の支払いについて取り決めをしたとき
・お金の貸し借りをしたとき
などに利用されています。
Q 遺言書を公正証書の形にすると、どんなメリットがありますか?
・原本を公証役場で保管してくれるのでなくす心配がない。
・公正証書を作成するときに本人確認をするので、他の遺言書の方法と比べ、後でその遺言書が「偽造
だ」として争われる可能性が低い。
・公正証書にすると、他の遺言書の方法では求められる家庭裁判所での「検認」という手続がいらない。
といったメリットがあります。
Q お金の貸し借りや慰謝料や養育費の支払いの合意を公正証書の形にすると、どんなメリットがあり
ますか?
公正証書に、執行認諾文言(「支払いを怠った場合は強制執行されてもかまいません」という取り決め)
を付けてもらえば、相手が支払を怠った場合でも、あらためて裁判をすることなく、強制執行をすることが
できることが大きなメリットです。
Q 公証役場はどこにあるのですか?
全国に約300カ所あります。ちなみに、現在、愛知県には11カ所、岐阜県、三重県には各5カ所ありま
す。
Q 手数料はどれくらいかかるのですか?
どのような内容の公正証書を作成するかによって、手数料が異なります。最寄りの公証役場にお問い
合わせ下さい。
Q 公証役場は公正証書の内容をチェックしてくれるのですか?
法律実務の経験者とはいえ、必ずしも公証人は内容をチェックしてくれません。
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遺言書を作成するときや、ある権利関係について当事者間で合意をしたときに、公正証書の形で文書を残されることをおすすめします。たしかに、公正証書を作成するのに手数料はかかりますが、決して高額ではありません。ただ、遺言書や合意の具体的な内容(内容として妥当かどうかなど)についてまで、公証人がチェックしてくれるわけではありません。せっかく証明力の高い公正証書の形で文書を残されるのですから、一度弁護士にその内容を確認されてはいかがでしょうか。