「暴力団は、公共工事から閉め出される、公の施設を利用することができない、銀行口座を利用することができない・・・」
平成23年10月に、東京都、沖縄県で暴力団排除条例が定められ、全ての都道府県で施行されることになりました。平成19年には 政府が「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を発表しています。
? 最近のニュースでは、タレントの島田伸助氏が暴力団との付き合いを理由に芸能界から引退したニュースがありましたが、これも暴力団排除の流れでの出来事と言えるでしょう。
みなさんにとっては身近なニュースとは言えないのでしょうか?そうではありません。日常の取引でも問題となってくる場面があります。
? 愛知県の暴力団排除条例では、事業者は、契約の相手方に対してその契約をすることが暴力団の活動を助けたりすることとなるものではないことを誓約書で確認するよう努力するものとされています。この「事業者」には営利性が要件とされていないため、個人も含まれます。
また、不動産を売ったり、貸したりする場合、契約で、暴力団事務所に使われていることが後になって分かった場合には解除できる条項を定めるよう努力するものとされています。
さらに、東京都の暴力団排除条例では、より明確に取引の相手方が暴力団であることが判明した場合には解除できる条項を定めるよう努力するものとされています。
不動産を売ったり貸したりする場合、暴力団排除条項として
① 暴力団ではないこと、暴力団事務所として使われないことの確認
② 暴力や脅迫的言動などの禁止
③ ①②違反の場合の解除
という三段階での構成をとる必要があります。
今後、売買契約書や賃貸借契約書を作成する場合には、この暴力団排除条項を定めるべきでしょう。
? 平成19年に政府の指針が発表された後、各業界でひな型が作成されましたので、その頃に既に暴力団排除条項を定めた事業者もいることでしょう。
そのような事業者においても、今回の条例完全施行を一つの機会として、条項の見直しを考えるべきでしょう。
例えば、排除対象者について、「暴力団員」としている条項は、現役の暴力団員に限定されることとなりますので、「暴力団員でなくなってから3年を経過しない者」を含む定め方にするとよいでしょう。